まず、行動すべし。

お箸と胡麻



人は誰しもコンプレックスを抱えている……と思う。
私も数多くの劣等感にまみれて生きているが、その中の一つにお箸がある。この歳になっても上手く扱えない。二本の箸が交差してまるでハサミのような動きになってしまう。家族や気のおけぬ友人の前ならばよいのだが、かしこまった席などでは相当に窮屈だ。
多くの方は「たかが箸」と思われるのだろうが、私にとっては大きな問題だ。

よく見る夢がある。

私の目の前には茶碗があり、その中には山盛りの胡麻が…。それを茫然と見つめる私の向かい側では、小坊主がせっせと一粒ずつ箸で胡麻をすり鉢へと移して行く。山盛りの胡麻であるから一向に減る様子はないが、それでも一心に胡麻を移し続ける。私は茫然と胡麻を、小坊主を、見つめ続ける。

ただそれだけだ。一体なんなのだろう。子供のころから、この『胡麻と坊主の夢』と『崖に追い詰められ転落する夢』は頭の中でしつこく繰り返される。どういう深層心理の表れなのかは解らぬが、どちらもあまり良い心もちはしない。一つ確かなのは、私の胡麻がなくなる日は永遠に来ないこと。

行動できぬ者は、地道に積み重ねる者を越えられない。

わかっては……いるのだよなぁ(>_<)

(トク丸コラム)

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